『ユメログ』から『ユメハシ』へ — 夢と現実のあいだに、橋を架ける
夢を持てない学生だった
高校生のころ、私には夢がありませんでした。
周りの友人が「医者になりたい」「警察官になりたい」と将来を語るなかで、私は自分が何をしたいのか、何者になりたいのかを言葉にできませんでした。進路希望調査には「とりあえず大学」と書き、どの学部を選ぶかは偏差値で決めました。
大学に入ってからも同じでした。サークルに入り、アルバイトをし、単位を取り、それなりに楽しい日々を過ごしていましたが、心のどこかで「このままでいいのだろうか」という違和感がくすぶっていました。何かを成し遂げたいわけでもなく、何かに打ち込んでいるわけでもない。毎日を消費しているだけの感覚。
転機は、一冊の本との出会いでした。
詳しくは書きませんが、その本に書かれていたのは 「夢を持つことが、人生を生き生きとさせる」 という、ある意味で当たり前のことでした。でも、夢を持たないまま過ごしていた私には衝撃的でした。夢があるから頑張れる。夢があるから壁を乗り越えられる。夢があるから、毎日が「消費」ではなく「積み重ね」になる。
そこから私は、自分の夢を言葉にする練習を始めました。
夢を書き出してみて分かったこと
最初に書いた夢は、抽象的で曖昧なものばかりでした。
幸せになりたい かっこいい大人になりたい 自由に生きたい
これらを眺めてみて、正直「どう動けばいいのか分からない」と感じました。夢を持ったつもりでも、明日から何をすればいいのかが見えない。「夢を持つ = 幸せになる」の間には、大きな溝があったのです。
そこで私は、夢をもっと具体的な 目標 に落とし込むことを試みました。
幸せになりたい → 経済的に自立する → IT エンジニアとしての専門性を高める → 副業で業務委託案件を安定して受けられるようにする
この階層を手書きのノートに書き出していくうちに、「明日やるべきこと」が自然と見えてきました。抽象的な夢は行動にできませんが、具体的なタスクは行動にできます。夢と現実のあいだには 分解 というステップが必要だったのです。
アプリとして形にしたかった理由
しばらくはノートに書き出す方法で続けていたのですが、いくつか問題がありました。
- 書いたことを 忘れてしまう(ノートを開かなくなる)
- 目標の階層構造が 紙ではうまく表現できない
- 進捗を 振り返る仕組みがない
- 「続けている自分」を 可視化できない
エンジニアとしての仕事を続けるなかで、「これはアプリで解決できる問題だ」と思うようになりました。特に最後の「続けている自分を可視化する」仕組みは、自分の性格にとって重要でした。見える化されないと、私は続けられないタイプだからです。
こうして開発が始まったのが、最初のバージョン「ユメログ」でした。
3 ステップで、夢を行動に変える
ユメログ(現ユメハシ)の中核は、とてもシンプルな 3 ステップです。
Step 1. 書き出す
まず、夢を言葉にして書き出す。「頭の中にあるもの」と「言葉になったもの」では、脳の扱いが全く違います。言葉になって初めて、脳はそれを「目標」として認識し始めます。
ここでは具体性は求めません。「ITエンジニアになりたい」「英語を話せるようになりたい」「いつか海外に住みたい」— どんな抽象的なものでも構いません。書き出すこと自体が最初の一歩です。
Step 2. 分解する
夢を 目標 に、目標を タスク に分解します。
夢: ITエンジニアになる
└ 目標: AWS認定資格を3ヶ月以内に取得する
├ タスク: 教材を1章ずつ進める(毎日30分)
├ タスク: 模擬試験を週1回解く
└ タスク: 試験を予約する
ここが一番大事で、一番難しいステップです。夢は壮大でいいのですが、タスクは「今日の自分ができるサイズ」に刻む必要があります。大きすぎるタスクは「また明日でいいか」と先送りされます。
ユメハシでは、タスクに 開始日・終了日 を設定して、ガントチャートのようなタイムラインで可視化します。日々の行動が「夢のどの部分に繋がっているのか」が一目で分かるように設計しました。
Step 3. 続ける
毎日少しずつでも行動すると、ユメハシの画面上で 星座 が少しずつ完成していきます。12 の星座を全て完成させる旅 — それがあなたの成長の証です。
星座システムは、私自身が「続けている自分を可視化したい」というニーズから生まれました。数字のグラフよりも、星が一つずつ灯っていく様子のほうが、頑張っている感が直感的に伝わると思ったからです。
「ユメログ」から「ユメハシ」へ
2026 年 4 月、アプリの名前を ユメログ から ユメハシ に変えました。
「ユメログ」は「夢(ユメ)のログ(記録)」という、愚直なネーミングでした。最初は自分の使うツールとして、夢と目標を記録するところから始めたので、名前もそのままの意味でした。
でも、運用を続けるうちに気づいたのです。「記録するだけ」では、夢は叶わない ということに。
ノートに書いた夢が叶わないのと同じで、アプリに記録しただけの夢も叶いません。記録と現実のあいだには、必ず 行動 がなければならない。そして、行動は「記録される対象」ではなく「橋渡しされる対象」だと思うようになりました。
夢と現実のあいだには、深い溝があります。夢は頭の中の理想、現実は今日の自分。この二つを繋ぐものは「記録」ではなく、一歩ずつ渡っていける 橋 のほうが、私のイメージには近い。
そうして生まれたのが 「ユメハシ」 という名前です。「夢(ユメ)への橋(ハシ)」— 夢と現実のあいだに架ける橋、それがアプリの役割であり、コンセプトです。
改名と同時に、アプリのキャッチコピーも変えました。
夢を現実へとつなぐ橋渡し。 夢を言葉にし、一歩ずつ現実へ。
このキャッチコピーは、私自身が学生時代の自分に言ってあげたい言葉でもあります。
「最初の一歩」を支えるという思想
ユメハシの開発哲学として大切にしているのは、「最初の一歩」を支える ということです。
人は慣性で動いています。止まっている人は止まり続け、動いている人は動き続けます。だから、止まっている人に必要なのは 「動き始めるきっかけ」 であり、動いている人に必要なのは 「動き続ける仕組み」 です。
ユメハシの Web 体験版は、この思想を反映しています。
- メールアドレスもパスワードも不要で、URL を開くだけ で使える
- チュートリアルが自動で立ち上がり、夢・目標・タスクの登録を導線化している
- 最初は「夢を 1 つだけ書く」ところから始められる
- フィードバックを送ると制限が段階的に解除される仕組みにして、継続的な対話を生む
「すぐに課金してもらう」ことよりも、「まず一歩踏み出してもらう」 ことを優先しました。一歩踏み出せた人は、自然と二歩目、三歩目へと進んでいきます。ユメハシはその過程を支える裏方でいたいのです。
なぜ個人で作り続けるのか
ユメハシは、正直に言えば商業的に成功しているわけではありません。月額 200 円のサブスクリプションは設定していますが、契約者数は少なく、運用コストこそ 0 円ですが、収益もほぼ 0 円です。
それでも作り続けている理由は、このアプリが「もう 1 人の私」を助けているから です。
高校生のときの私、大学生のときの私、夢を持てずに毎日を消費していた私。ユメハシは、その時の自分に向けて作っているアプリです。もし同じように夢を言葉にできずに悩んでいる人が、この世のどこかで 1 人でもユメハシを使って一歩を踏み出してくれるなら、それだけで十分だと思っています。
お金のためではなく、自分が作りたいから作る。ユーザー数が少なくても、その 1 人のために作る。個人開発の醍醐味は、そういう 「採算度外視の誠実さ」 を貫けることだと思うのです。
これから
v2.1.0 までで、基本機能と安定性、そして起動速度の改善は一段落しました。ここからは、もっと「夢を語ること」そのものを楽しくするための機能を追加していきたいと考えています。
- 夢の発見ガイド — 「夢がない」という人のための対話型ガイドを本格実装
- ロールモデル共有 — 先輩の夢の叶え方を参考にできる匿名共有機能
- 振り返りプロンプト — 月末に「今月の成長」を言語化する仕組み
あと 5 年後、10 年後、ユメハシを使い続けてくれている人がいたら、そして「このアプリのおかげで夢が叶った」と言ってくれる人がいたら、それは私にとって最高のご褒美です。
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あなたへ
もしこの記事を読んで、何か心が動いたなら、ぜひユメハシを触ってみてください。
アプリは ユメハシ(YumeHashi) から、ダウンロード不要で使えます。最初の画面で夢を 1 つ書き出してみるだけで大丈夫です。
書き出した夢が、いつか現実になりますように。
そしてその道のりに、ユメハシが小さな橋の役目を果たせますように。