本日リリース、AI業務管理秘書たすきば — 「毎日1時間が蒸発する構造」を解きにきた6ヶ月
公開しました
本日 2026 年 6 月 1 日、 たすきば Knowledge Relay を正式リリースしました。
今、これを書いているのは朝の 6 時です。デプロイのログを 3 回見直して、ヘルスチェックを通って、本番 DB のマイグレーションが冪等に流れたのを確認して、それから紅茶を淹れにキッチンに立ちました。何度も練習した手順だったはずなのに、今朝に限って手が少し震えていました。
半年前にプロトタイプを書き始めたとき は、こんなふうに本当に世に出る日が来るのかと、半信半疑で手を動かしていました。週末の夜、誰にも見せない GitHub のプライベートリポジトリに、コミットを少しずつ積んでいた日々。あの時の自分に、今日のリリースの景色を見せてあげたい——というのは、たぶん格好つけすぎで、本音は 「ちゃんと動いてくれてよかった」 に近いです。
今日は、A 章で書いてきた「思想」をいったん脇に置き、 画面と機能ベースで「何ができるサービスなのか」 を、リリース当日の温度感のままで書きます。技術スタックの表と、3 プランの数字と、コア機能の地味な説明が並びますが、その背景には 6 ヶ月分の小さな決断が詰まっている、ということだけ最初にお伝えしておきます。
サマリ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サービス名 | たすきば Knowledge Relay |
| 公開日 | 2026 年 6 月 1 日 |
| 対象ユーザ | 業務利用で継続的にプロジェクトを運営する組織のマネージャ層(PM / PL / チームリーダ) |
| コア機能 | 過去プロジェクトの資産(ナレッジ・リスク・課題・振り返り・メモ)を、新規プロジェクト立ち上げ時に 意味検索で自動提案 |
| プラン | Beginner(¥0 / 5 席まで)/ Expert(¥0 + 従量)/ Pro(¥0 + 従量 + Sonnet) |
“たすきば” とは何をするサービスか
たすきばを一文で言うなら、 過去に蓄積されたナレッジを、最適なタイミングで掘り起こすサービス です。
「検索」でも「蓄積」でもなく 「掘り起こす」 と書いているのは、機能の中心が、ユーザが情報を探しに行く前に システム側から候補を提示しに来る ことにあるからです。
具体的には、新しいプロジェクトを立ち上げる際にこうなります。
- プロジェクトの目的・背景・対象範囲を入力する
- たすきばが、過去の全プロジェクトの資産を意味検索で評価する
- 関連性の高い順に、5 カテゴリ × 最大 10 件 = 計 50 件まで の候補が並ぶ
この一連の操作で、過去にあった類似プロジェクトのナレッジ、潜在リスク、過去の課題、振り返りの教訓、関連メモが、 意識しなくても目に入ります 。
なぜ “意味検索” なのか
既存の業務管理ツールの多くは、データの蓄積に長けています。けれど蓄積したデータの 利活用は不得意 です。
検索が全文検索(キーワード一致)で実装されているため、
- 「セキュリティ要件」で検索しても、過去の「情報漏洩対策」が出てこない
- 「QCD」で検索しても、「品質・コスト・納期」が出てこない
- 全文検索自体は速いが、人の目で 1,000 件を吟味するのは限界がある
——という構造的な限界があります。
たすきばは、 Voyage AI Embedding + PostgreSQL pgvector を組み合わせた意味検索を採用しています。
- Voyage が 1,024 次元のベクトルを生成
- PostgreSQL pgvector が Cosine 類似度でランキング
- タグマッチング(Jaccard 0.3)+ 文字列類似度(pg_trgm 0.2)+ 意味類似度(Voyage 0.5)の 3 軸合算スコア で評価
これにより、 表記揺れも意味的な近さも、両方を拾える設計 になっています。
主な画面
| 画面 | 機能 |
|---|---|
| ダッシュボード | 担当プロジェクトの状態 / 最近の活動 / 提案候補 |
| プロジェクト管理 | 7 状態の一方向遷移、メンバー管理、設定 |
| WBS / ガントチャート | タスク階層管理、リサイズ可能な列、CSV インポート |
| ナレッジ管理 | Markdown 入力、添付ファイル、タグ自動抽出 |
| リスク / 課題管理 | 解消状態管理、過去の類似事例の自動提示 |
| 振り返り | KPT / Try-Action 構造 |
| メモ | 雑記用、私的メモと共有メモの 2 段階 visibility |
| 見積もり | 工数計算 |
| マイタスク | 担当タスクの横断ビュー |
| テナント管理 | ユーザ管理、ロール変更、課金状況、API 利用量 |
課金体系の考え方
別記事で詳しく書く予定ですが、たすきばは 「儲けるための課金ではなく、続けるための課金」 をスタンスにしています。
- Beginner プラン(5 席まで・月額 ¥0)— 個人や小規模チーム向け。プロジェクト作成 / 更新は月 50 回まで無料。資産入力(ナレッジ・リスク・課題・振り返り・メモ)とチャット意味検索の embedding は月 100 件まで無料
- Expert プラン(無制限席・月額 ¥0)— プロジェクト作成 / 更新の従量課金(¥10 / call)。Haiku モデルで自動タグ抽出。embedding は 1 回 ¥5
- Pro プラン(無制限席・月額 ¥0)— Expert + Sonnet モデル(¥15 / call)。「なぜ関連するか」の説明文付き提案(LLM Re-ranking)を Pro 限定で提供。embedding は 1 回 ¥5
詳細は ADR-0019 / ADR-0020 / ADR-0021 を順次連載で書いていきます。
技術スタック
| レイヤ | 採用 |
|---|---|
| 言語 | TypeScript 5.x |
| フロントエンド | Next.js 16.x(App Router) |
| UI | React 19.x + shadcn/ui + Tailwind CSS |
| ORM | Prisma 7.x(pg adapter) |
| DB | PostgreSQL 16.x(Supabase, pgvector) |
| 認証 | NextAuth.js(Auth.js)5.x + Credentials + TOTP MFA |
| Embedding | Voyage AI(voyage-4-lite, 1,024 次元) |
| LLM | Anthropic Claude(Haiku / Sonnet) |
| 課金 | Stripe Metered Billing |
| メール | Brevo |
| ホスティング | Netlify + Supabase(Vercel から移行済) |
| テスト | Vitest + Playwright |
| CI/CD | GitHub Actions(security score 90/100 強制) |
“個人開発” であることの正直な意味
たすきばは、私(teppei)ひとりが、本業の傍らで開発しています。共同開発者は今後募集する予定ですが、当面は私 + Claude Code(必要なときだけ)の体制です。
そのため、 品質を個人の意志ではなく仕組みで担保する ことに、最初からエネルギーを集中投下してきました。
- 品質ゲートをすべて CI に焼き付ける(lint / tsc / test / E2E / Visual / Security)
- 罠は KDD(Knowledge-Driven Development)に蓄積する(現在 16,000 行超)
- 設計判断は ADR で残す(現在 21 本)
- ドキュメントは三層(要件 / 設計 / 仕様)を常に最新化
これは個人開発であっても、いや個人開発だからこそ、 「将来加わってくれる人間開発者」のための先行投資 だと思っています。 心理的安全性の話 で書いたように、再現できる仕組みは、文書化を経由しないと届きません。
これからの連載
リリースは、ここからが本番です。今後、以下のテーマで書き続けます。
| 章 | 内容 | 公開予定 |
|---|---|---|
| B | プロダクト概要、画面、課金、リリース全体像(残り 3 本) | 6 月上旬 |
| K | コミュニティ・募集・文化(4 本) | 6 月中旬 |
| L | リリース後の展望(3 本) | 6 月中旬 |
| 補章 | マスコット / 6 ヶ月振り返り(3 本) | 6 月後半 |
最後に
たすきばは「派手な成長を目指すサービス」ではありません。 毎日少しずつ蒸発している 1 時間を、誰かの手元に取り戻すサービス です。
地味です。でも、本気です。
リリースは、終わりではなく、ここからが始まりです。 プロダクトページ からお気軽にご覧ください。共感してくださる方は、ぜひ Discord でも声をかけてください。
明日は、コア機能である 提案機能 がどんな体験を作るのかを、画面ベースで書きます。
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たすきば について
たすきば Knowledge Relay は、ナレッジを中核に据えた業務 SaaS です。月額 ¥0 から始められます。 プロダクトページ からサービス概要・画面イメージ・プラン詳細をご確認いただけます。