公式マスコット「たすきフクロウ」誕生記 — 知恵・記憶・守護の象徴

たすきフクロウ — 濃紺のフクロウが羽でドキュメントを抱え、胸元には鍵穴付きの盾、背景には円形のバリア
たすきフクロウ

なぜマスコットが必要だったのか

差別化軸を 6 つに言語化したあと(前回)、私が次にやらなければいけなかったのは、サービスを 視覚的に象徴するキャラクター を決めることでした。

機能やコピーで世界観を伝えるのには、限界があります。

ユーザが画面を開いた最初の 1 秒で 「ああ、こういう温度感のサービスね」 と直感的に分かる装置が必要だったのです。

その装置として、私はマスコットを選びました。たすきばに登場する公式マスコットの名前は、 「たすきフクロウ」 。今日は、なぜフクロウなのか、なぜ真剣にこれを決めたのかという話を書きます。

👉 たすきば プロダクトページ

なぜフクロウなのか — 3 つの象徴

フクロウを選んだ理由は、 3 つの象徴がプロダクトの本質と過不足なく重なるから です。

1. 知恵の象徴

ギリシャ神話で、女神アテナの傍らにいる聖鳥がフクロウです。西洋ではそこから、フクロウは 「知恵・学問」のシンボル として定着しています。

たすきばは、過去に蓄積された資産(ナレッジ・リスク・課題・振り返り)を活かして、より賢い意思決定をするためのサービス。 「知恵を扱うサービス」という側面と、フクロウの象徴は、無理なく重なります。

2. 記憶の象徴

フクロウは夜目が利きます。暗闇の中でも、獲物を見逃しません。

たすきばが提供する価値の核は、 暗闇に埋もれた過去の資産を掘り起こすこと でした。 「埋もれていても見える」 という機能特性が、フクロウの視覚特性と象徴的に一致します。

これは、 連載第 1 回で書いた「意思決定者の目に触れなければ存在しないものになる」 という問題を、視覚的に裏返した象徴でもあります。

3. 守護の象徴

フクロウは古来、家を守る 守り神 として親しまれてきました。日本でも 「不苦労(ふくろう)」 という当て字で縁起物として扱われます。

たすきばはユーザのプロジェクト運営を見守り、リスクや課題が顕在化しないように、 静かにサポートする存在 を目指しています。 「見守るパートナー」 としてのキャラクター性が、フクロウとちょうど重なります。

——3 つの象徴を 1 つの動物が背負ってくれるというのは、思ったより珍しいことです。 4 候補から比較した話は、後日の補章で書きます。

“たすきフクロウ” という名前の由来

サービス名 「たすきば」 は、 「たすき(襷)を渡す場所」 という意味を持ちます。

リレーで走者から走者へ襷が渡るように、過去のプロジェクトから新しいプロジェクトへ、ナレッジが渡されていく——その襷渡しが起きる “ば(場)” がこのサービスです。

たすきフクロウは、その襷を見守り、必要なタイミングで 「この襷、忘れてませんか?」 と差し出してくれる存在として位置づけています。

押し付けるのではなく、 静かに差し出す 。これが、私が描いている彼/彼女の役割です。

キャラクターの世界観基準

たすきフクロウを使ったアイコン・挿絵・コピーを追加する際の世界観基準を、明確にしています。

表現の方針

  • 抑えた配色 — 引き算の美学(A-3 UI 哲学)と同根
  • 静かなトーン — 押し付けがましくない
  • 見守る視線 — 上からではなく、横や少し下から
  • 専門家ではなく相棒 — 「教えてあげる」ではなく「気づくのを手伝う」

NG 表現

  • 派手なアニメーション — サービスの落ち着いた雰囲気と合わない
  • 指差しで指示するポーズ — “ゲートキーパー” 的な印象を与える
  • 過剰な擬人化(SD キャラ化や子供向け表現) — 業務ユーザに向けた信頼感を損なう

コピーの方針

  • 能動形ではなく受動形寄り — 「ここを見ろ」ではなく 「ここに、ありますよ」
  • 断定ではなく提案 — 「使うべきです」ではなく 「使ってみてはどうでしょうか」
  • 依存ではなく自立支援 — 「あなたを助けます」ではなく 「あなたが思い出せるように」

この 3 つの言い回しは、結構真剣に検討しました。 マスコットの口調 = サービスの口調 になるからです。ユーザが「押し付けられた」と感じない言い方を、しつこく整えています。

なぜマスコットを軽視しないのか

個人開発において、マスコットは 「あったらいいね」 程度に扱われがちです。私はそうは思っていません。

サービスの最初の接触点は、ロゴでもキャッチコピーでもなく、 サービスから感じる温度感 です。温度感は、UI と、そこに添えられたキャラクターから、いちばん強く伝わります。

ユーザが 「このサービス、なんか感じいいな」 と思うかどうかは、機能の良し悪しと同じくらい、最初の信頼に直結します。

たすきフクロウは、たすきばの “温度” を 無言で伝えるための装置 です。 『嫌われる勇気』ノート ③(いま、ここ) で書いた「言葉以前にある態度のメッセージ」と、根は同じものです。

まとめ

たすきフクロウの位置づけを 1 行に圧縮するなら、

押し付けず、静かに、見守る存在。

知恵・記憶・守護の 3 象徴を背負って、たすきの渡しをそっと見守る——そんなキャラクターを、これから連載のあちこちで一緒に育てていきます。

次回は、A 章の最終回。 “卒業文化” としての Discord コミュニティ を書きます。業務 SaaS のコミュニティに、なぜ “離脱” ではなく “卒業” という単語を持ち込みたいのか、という話です。

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たすきば について

たすきフクロウは、 プロダクトページ や記事内に登場するマスコットです。 「押し付けず、静かに、見守る」 という方針が、実際の画面でどう機能しているかをご覧いただけます。

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